『両手で耳を塞いでいたら
 額が盛りあがって
 角が四本生えてきた』


書こうと思って書けずじまいだったレヴューその1。

時代設定は江戸とか明治初期っぽい時代。
ただ主人公のギンコは思いっきりコート着ちゃってたりするんで
ちょっとパラレルっぽい、作者さん曰く
『鎖国し続けた日本』とか
『江戸と明治の間にもう一時代ある感じ』らしい。

タイトルだけ聞いたときは
サイコホラーかと思いきや実は全く違っていて。

この作品の『蟲』っていうのは
生命そのものに近しい存在で生と死の間の存在、
『者』であるようで『物』でもあり、
死にながら生きているような『モノ』

その形は昆虫・爬虫類・植物とも異なる異形のものから
人の形をして意思を持つものまで多種多彩。

この作品はその蟲たちと共存、もしくは屠る術を知る『蟲師』ギンコが
各地で遭遇する蟲が関する話を短編形式で綴っていきます。

生命に近しいだけあってヒトよりもより純粋に
その生をまっとうしようとする蟲たちが
人間に及ぼす影響とそれにまつわる話は時に切なく時に温かく。
読み終わった後に心地よい浮遊感の残る作品ですね。

最初に書かれた台詞は『柔らかい角』というお話で
雪に閉ざされた山里で『音が聴こえなくなる』という
奇病が流行っていて、それはギンコが治療するんだけど
村長の孫だけはその逆、『音が押し寄せてくる』という症状が出る。
しかもその額には鬼の様な角が四本生えていて――というお話。
読んでいくと漫画なのにそこに音を使った演出が沢山仕掛けられていて
ぐいぐいと引き込まれていく感じが心地よいです。

ちょうど今日、土曜の深夜からアニメも放送しているらしいですし
トリノオリンピックを見るために夜更かしを予定している方、
30分ほど休憩がてら観てみてはいかがでしょうか?

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